感想御題:暫しの別れは、一緒に前へ進む為。
第202話「告げる」

 先週号で次回予告を見て以来、ずっと気になり続けていた「信と羌カイの間で……!?」何があるのか!? という不安と期待。
 今週は、何というか……、正直「腹六分目くらいかのォ」という気持ちと、でもよくよく読み返してみれば、「いや、でもやっぱりこれ位がこの二人らしいし良かったんだ」という思いが交差した回でした。
 でも、取り敢えず、なんていうか……。

 待ってたぞ!!!

 と、夜王風の煽りで叫びたくなるような回であった事は確かです。(笑)

 ――まずは扉絵から。

「迷いがあっては、剣舞は出来ない――」
 そんな煽りと共に、その瞳に強い意志を宿し、美しく舞う羌小姐の扉絵です。
 ……もう、これ見た瞬間、メッチャ期待しました。
 これ、騙されてないよね? 第180話「前哨戦」の扉絵みたいに、「お、今回は彼女のターン!?」と期待させておいて全然違ったorz とかそういう感じじゃないよね!? 次回予告にも何か期待させる言葉が書いてあったし!!
 とか思いつつ、右隅を見ると。
 サブタイトルが「告げる」

 ………。
 ………何を!?

 この時点で、正直自分の中で相当ハードル上げちゃってました。(苦笑)
 いや、理性の部分では分かってたんですけどね。……大体、今週号位の感じだろうなぁというのは。
 分かっちゃいたんですが………。そこら辺が、心の片方では「腹六分目」と言ってしまう所以です。(自分で勝手に期待し過ぎただけじゃん知らねーよ、という感じですが^^;)
 
 ↑についてはどうせ散々後述するので置いといて、先ず扉絵の感想をば。
 扉絵の羌小姐、随分大人びてますね。……手には緑穂を、瞳には前へ進もうという強い決意を。マフラーから除くすらっとした喉元と、そっと靡く遅れ毛がちょっと色っぽい感じですね。
 それと、とてもまっすぐで多分綺麗だろうと予想される長い髪。
 出来れば一度位、解いた所を見てみたいものです。

 閑話休題。

 さて、桓騎・王翦という隠れた化物副将二名によって次々に城を取られ、いよいよ山陽に迫られてしまった魏。このまま秦軍の圧勝ムードかと思われた戦でしたが、魏の王都では、遂に切り札的存在の元三大天・廉頗が出陣しました。
 秦が山陽攻略戦を開始して二カ月。戦はクライマックスを迎えようとしています。
 それにしても見開きで矛を構える廉頗将軍、老齢にも関わらずものっそいド迫力ですね。流石は歴戦の猛将といった風格を感じます。
 そんな廉頗は、山陽城を華麗にスルーし、野戦に持ち込む気満々です。どんだけ自信満々なんだこの人。(苦笑)
 ――こうして戦場に到着した廉頗ですが、何か魏の人達に威圧感たっぷりに色々聞いていた「満山」への布陣を取りやめます。
 満山は、今回予定されている野戦の地において、最も地形的に有利とされる地だったのですが、何故止めてしまったのか??
 理由は、既にそこには先客がいた為でした。
 信の初陣の時も、「場所取り」は戦の最重要項目の一つでした。そのセオリー通り、廉頗に先んじて有利な地を抑えたのは、秦軍副将・王翦です。

 相変わらず、この仮面に覆われた顔が異様な雰囲気を醸し出しています。
 なんかバトル・キングとかそんな称号が凄く似合いそうな佇まいです。(笑)
 秦六大将軍と共に、一時代を築いた猛将・廉頗を相手取ったこの戦い、先ずは秦軍有利か…と思いきや。
「まずは合格点をやろうかのォ。ヌッハハハハ」
 …合格しただけみたいです。(^^;)
 まあ、これくらいで冷や汗たらっとかやられても…ではありますが、やっぱり王騎将軍をして「化け物」と言わしめる将を抱えていても、この戦、相当苛烈なものになりそうな予感がしますね。

 ……その一方で。
 決戦の地へ向け行軍中の蒙ゴウ本軍では、なんか昂くんが「虎だっ」とか叫んでます。
 そんな「珍獣発見!」みたいなノリでいいトコなの?
 と思ったのは私だけでしょうか。(^^;)
 っすよ。……武器構えるとか逃げるとか、もそっとマシな選択肢がありそうですが。そして中国のこんな山の中でも、そんな珍しいものなのでしょうかね。
「ほらっ虎! 信! 見たいって言ってただろ…」
 とか言いかける昂くんですが。(信…君って奴は…^^;)
 思いっきり尾平さんにどつかれてます。
「信達のジャマすんじゃねェよ。今あの四人は、千人になった飛信隊の戦い方を考えてんだから

 ……その並んでる四人ですが。
 右側から楚水さん、羌小姐、信、渕さん。(渕さん、さり気に信と似たポーズ取ってるのが微笑ましいです)
 何も知らずにこの四人だけを見たら、間違い無く楚水さんが将だと思ってしまうこの服装の違いが泣けて来ます。
 馬も貰ったんだから、郭備千人将の形見の甲冑着て…とかもあるかと思ったんですが。それも無いか……。orz
 何故そんなに頑ななまでに甲冑を着ないんだ、信。
 まさか、いつか羌小姐に「全然似合ってない」って言われてたのを気にして…とかだったら笑えますが。どうなんだ……?

 しかし尾平さん、「信達のジャマすんな」って、昔だったらこの人が昂くんが言ってたような事を言ってそうな気がするんですが。(で、尾到に「今は信達のジャマをしちゃだめだ、兄貴」って言われそうな…)趙との戦い終結後、すっかりベテラン什長としての風格も出て来て、しかも随分しっかりしたなぁ…って気がします。
 只のお調子者ではなく、すっかり「飛信隊の什長」になってますね。
 この後もずっと信を見守り続けて欲しいと思いますが、この「ジャマすんな」という台詞に、「千人将」になった信との距離が次第に開いて来てるんだな…と感じました。
 将軍になってもやっぱりガキ扱いしたり、バカ話して笑い合える関係でいて欲しいとは思います。けれど足並み揃えて一緒に出世するのは難しい以上、だんだんそうは行かなくなっていく気がして、少し切なかったです……。
 ――のですが。
「それで第三隊を右に二つ」
「中鉄 第三隊二こ右だ。そっちは左だ、こっちから見て右! 三こじゃねェ二こだ! だからそっちは左だって」
「そして第一隊が回りこめば勝ち。たぶん」
 ……以上、馬で移動しつつの戦術談義でした。
 こんなもんだよ、尾平さん!!!(笑)

 そして中鉄さんは一体いつになったらまともに台詞を言わせて貰えるのでしょう。(笑)
 信、君も「お前から見て左だ」とかこう…もそっと分かりやすい指示を出してあげれば良いのに(結構大変だと思うんですが…。後ろ向きで馬に乗りつつ、地図を掲げて図を作るって)

 それと…。
 あんまり突っ込んじゃいけないところだと思うのですが。

 その図版、何で出来てるの!?

 この時代に、ホワイトボードマグネットとかそんな便利なモノ無いですよね。……一体何でくっついてるんだその丸いの。(YJ48ページ3コマ目)
 
 それはともかく、羌小姐の言葉に楚水さんは暫し呆然。
「き…羌カイ殿は一体どこで兵法の勉強を…?」
 とか生真面目に聞いちゃってます。どうやら、経験豊富な楚水さんもビックリな位、羌小姐の戦術眼は確かなようで……。
 勿論、彼女にそんなものを勉強した経歴がある筈もなく。
「勉強? 別に。今考えただけ。てきとーに」
 こんな答えが返って来てます。
「…て、天才…というやつですか…」
 これが天才だ!!!
 凡骨には越えられない壁だ!!!・゚・(ノД‘)・゚・
 楚水さんの言葉からは、そんな思いが滲み出ているかのようです。
「ワハハすげェだろうちの軍師は。でも剣抜いた時の方がもっとすげェぞ。味方でよかったと思うこと間違いなし」
 楚水さんの反応に、まるで自分のことのように嬉しそうに返す信が微笑ましい!! 男友達にするみたいに、ガシッと肩組むところとか、ちょっとした見どころでしたが。
 速攻で撥ね退けられてます。(^^;)
 この辺、やっぱり羌小姐も変わったなぁと……。

 初陣の時に戦車隊の攻略で「死体の防壁」作戦がうまく行った際、尾平に「でかした羌カイ!」と肩組まれてた時は、別に撥ね退けたりとかしなかったのですが。
 信にとっては何気ない事でも、やっぱり彼女的にはちょっと照れ臭かったのでしょうかね。…影で顔を赤らめてたりするのかも??
 何となく、信の手が彼女の胸付近に当たってる気がしないでもないですが、無論故意じゃないでしょうし。(しかしこの辺りも意識して思い切り撥ね退けてたんだとしたら萌え尽きそうです。早くも真っ白な灰になりそうです……)

 そんな微笑ましい所に、火急を告げる赤伝者……と思いきや。
 土門将軍(すみません。ぱっと見、「火急を告げる〜」にしか見えませんでした……orz)とかいう蒙ゴウ本軍の将軍の一人が、決戦の刻が近付きつつある事を告げました。

「本攻略の最終目的地・山陽に、すでに魏軍の第一軍と副将・王翦軍が到着した。両軍はにらみ合ったまま友軍の到着を待っている。
 魏軍は続々と集結中! 我らも遅れをとるわけにはいかぬ!!
 全軍 行軍の足を速めよ。決戦の刻は近いぞ。進めェ!!」


 その言葉を聞く信達、昂、尾平、沛浪(YJ49ページ5コマ目の横顔、結構渋くてかっこよい!)その他多くの騎兵・歩兵達。
 彼らは全員一丸となり、行軍の足を速めます。
「らしくなってきやがったぜ」
 相変わらずプレッシャーを感じさせず、良い意味でテンションを高める信。
「っしやるぞっやってやるぞ昂」
「うん」

 …どうか、勇み足し過ぎないように…とふと不安に駆られるやり取りをする慶さん&昂くん。(二人共、今回もちゃんと生き残って欲しい……)
 相変わらず飄々とした様子ながら、既に気持ちは戦場モードになりつつあるであろう、松左什長。
 そんな彼らの姿を静かに見つめる羌小姐。
 その胸の中で何を思うのか、彼女は信に声を掛けます。
「後で少しだけいいか? ちょっと二人だけで話したいことがある…」
「ああ。いいぜ………」
 信はその言葉といつになく真剣な彼女の眼差しに、何を感じたのか? 
 それがとても「大事な話」だと分かっているのは確かです。(この表情、後から読み返すと、ある程度用件も分かってたんでしょうね…)

 ここでもう。
 テンションメッチャ上がってしまったんですよ。
 サブタイトルが「告げる」。それに加えて「二人だけで話したいこと」
 そして決戦の刻は間近

 これだけ条件が揃えばもう!!!
 告白以外無いじゃん!? とか思ってしまった訳です。
 …いやいやでも、いきなり告白!? それも、どう見ても恋愛とかそっち方面には鈍い&奥手そうなこの二人の間であるだろうか!? 実際はそこまで行かないんじゃ…、と理性の部分は囁いていたのですが……。
 世の中には、
 遭難した女性を助けた⇒見た目によらず大きな胸をガン見⇒三年後⇒「愛してる、花」とかそんな超絶展開な漫画だってあるんだよ!!!
 それに比べたら、全然違和感なんて無いって!! 結構細やかにこの二人の距離が縮まってる様子は描かれてたし!!
 ……最早冷静さなど消し飛んだ私は、そんな風に叫んで理性の囁きをねじり潰してしまいました。(--;)

 なので。
「さー、いよいよ野営か! 決戦前夜の、例によって月の綺麗な草原で二人きりのシーンに切り替わるのか!?」
 ってドキドキしながらページをめくったら、いきなり呂不韋のドアップがあって驚愕しました。色んな意味で「なんじゃこら!?」と。(^^;)
 …しかし王騎将軍程ではないにせよ、このオッサンのドアップもなかなかインパクトありますね…。

 画面は秦の王宮・軍議の場面へと切り替わります。
 無論、昌平君が蒙武将軍を伝者に出した位ですから、魏が廉頗将軍で来る事は分かっています。
 戦に関しては、正直あまり明るくないな…という感じの呂不韋でさえその名は脅威に感じている様子。なので、「何故援軍を送らないのか」と昌平君を問い正していました。
 昌平君曰く、廉頗が出て来るのは念の為想定済み。なので、それに対抗しうるだけの軍容は持たせた…との事。
 しかし、趙との同盟により、魏を攻めている間に趙に攻め込まれるリスクが無いとは言え、南の大国「楚」への対応はしっかりしておく必要があり、援軍を送れる程余裕が無い、と語ります。この対策の為、秦は蒙武・張唐・ヒョウ公将軍の三人を当てています。(蒙武将軍は、恐らく楚の対策へ向かう道すがら伝者代わりに立ち寄ったのですね)
 それにしても、何気に「張唐将軍」が気になります。
 秦が趙の侵攻を招いた韓との戦でも、楚の対策用にと配置されていた将軍でしたし。(単行本11巻)今後、出番があるのでしょうか……。
「楚とは表向き上休戦中のはずだが!?」
「いえ…隙を見せれば必ず侵攻してきます。そしてこちらがその対応にせまられた時、山陽一帯を再び魏軍が取り戻しに来るでしょう。
 楚の目的もまた
秦に"山陽"を取らせぬことです。
 それほどにこの山陽という地は秦の東への領土拡大の大きな障壁となっている」

 呂不韋が李牧との「交渉」でおまけにとぶん取った「韓皋」と言い、秦の「中華へ出る上で抑えとかなきゃならない要所」は多いですね。
 矢張り西の果ての秦が中華へ出る道のりは遠いのだな…と改めて感じます。
 しかし昌文君は、この廉頗との戦いを「無理じゃ」と断言。
「報告によれば蒙ゴウ軍十四万に対し廉頗の魏軍も十四万。同規模の軍ではあの廉頗に勝てはせぬ。総司令は廉頗の恐ろしさが分かっていない
 昌文君は長年戦場でその「恐ろしさ」を目の当たりにしてきたからこその台詞なのでしょう。
 しかしそれでも、「多少の無理は承知の上」で、昌平君は何としてもこの戦で山陽を取りたい旨を話します。
 これ程の大戦略を立てられるのは、趙との同盟が成ったこの時期をおいて他にない、と。
 山陽がそれだけ重要な拠点だというのは理解出来ましたが。

 つい最近、太后・呂不韋との醜聞を流しまくり、呂不韋陣営を大いに揺るがせまくった大王派と、もうとっくにそれを知ってる呂氏派と。
 この両陣営が、何事もなかったかのように軍議をしている様が実にシュールです。これが政治の世界なのでしょうか。
 他国との大戦争を前にいがみ合ってる場合じゃないとは言え、ちょっとこれ、王宮の権力抗争モードと戦争モードと、切り替え良すぎでは?? と思わずにはいられません。(^^;)
 ただ、YJ54ページ5コマ目の呂不韋の眼差し(多分、昌文君の方を見たのだと思われますが)が微妙に冷たーい感じがしたのは、決して気のせいではない……と思います。

 趙では李牧達が廉頗将軍の勝利を祈って戦を見守り。
 秦でも、多少(実際は「多少」どころじゃないのでしょうが)の無理を押してでも山陽を勝ち取りたいと願い。
 ――魏、趙、秦、三国の思惑が入り乱れる山陽付近の野戦城では、もう一人の秦軍副将・桓騎も布陣を完了していました。
 廉頗本陣にもその報は伝わっていますが、桓騎が布陣したのは、予定された主戦場から遠く離れた留山という場所でした。
 確かに、相当離れてるっぽいです。
 主戦場が点になってます。

「もう一人の副将は場所を見誤ったか怖気づいたか!」
 とかモブ兵は言ってますが、主戦場を見つめる桓騎の横顔を見れば、そのどちらでもない事は推して知るべしといった所です。
 しかし恐ろしく邪悪な笑みを浮かべてますね桓騎さん。
 果たしてこの一見遠く離れた留山から何を仕掛けて来るのか?
 こちらも注目です。

 廉頗は無論、場所を間違ったとも怖気づいたとも取らず、「わざとであれば相当癖の強い武将のようじゃのォ」と桓騎を評します。
「距離をとるのは変化を好む軍略家に多い」
 と返すのは、いつも目を閉じてる姜燕さん。
「どこぞの"変幻自在"じじィと同じ匂いがするのォ」
 と笑う廉頗の台詞と共に映るのは、四天王の一人のジジィ。
 ハート様と並んで名前不明なんですが、この人もその風貌から、妙な存在感がありますね。「カ〜〜〜ぺッ」って痰を吐いてる所が、廉頗将軍とは対照的に凄くジジ臭いです。一緒に総入れ歯まで吐き出しそうな勢いです。
 このじじィも、相当トリッキーな戦を展開しそうですね。
 やはり似た者同士(?)桓騎軍と主に戦う事になるのでしょうか。
 ……あれ……そう言えば、輪虎は今頃何をしているのでしょう。(流石にこの状況になって、まだ有能な将を暗殺して回ってる事は無さそうですし)

 続いて、蒙ゴウ本軍の所在を尋ねる廉頗将軍。
 蒙ゴウ本軍は、現在郷の地なる地点を通過、到着は明日の予定との事。廉頗将軍の軍も、全軍が揃うのは同じく明日の予定。
 開戦の予定は、共に両軍の全軍が揃う明日以降になる見込みです。
 ヒョウ公将軍の時みたいに、軍が揃う前にさっさとおっ始めないんですね、今回は。
 そんな廉頗将軍は早くも勝利する気満々で、戦勝の前祝いにと兵達にお酒を振舞っちゃったりしていますが……、いいんでしょうか、これ。
 そこを桓騎・王翦軍に急襲され、蒙ゴウ本軍が到着した時には(以下略)。
 とかそんな展開だったら、幾らなんでも間抜けというか哀し過ぎです。

 でも、取り敢えず酒でも飲みつつ、戦は明日までちょっと待機してて欲しいです。いや、だって、今週のメイン(?)たる二人の大事なお話が……。

 ――その夜。
 月の綺麗な夜空には星が至るところに煌めき、明日も合戦日和である事を告げているようでした。
 そんな中、皆のいる陣から少し離れ、静かな草原で会う信と羌小姐。
 暫しの沈黙の後、先に切り出したのは彼女の方でした。
「私は地に足がついていない。だからお前達みたいに前に進めていない。それはやっぱり、象姉の仇を討ってないからだ」
 脳裏に蘇るのは、血の海の中、"祭"の終わった後に見付けた姉と慕う少女の変わり果てた姿。
「象姉の首を抱えた時の痛みは今もはっきり覚えている」
 そう呟く瞳には、決して忘れる事のない悲しみと怒りが揺らめいています。何かを堪えるように目をきつく閉じる次のコマと共に、印象的なシーンです。
「……だけど、私はその象姉の仇討ちを後回しにしてこんな所にいる。それはきっと、ここが今の私にとって唯一の帰る場所だからだ」
 わざわざ傍点で強調された「ここ」が何を指すのか、少し気になる所です。「飛信隊」の事を指すのか「信の傍ら」を指すのか。或いは両方か?
 膝を抱え込むようにして訥々と語る姿を見ていると、ここまで自分の心を整理するのに、彼女も色んな事を考えて、苦しんだりしていたのだと思います。
 やがて彼女はゆっくりを目を開き、今は皆寝静まっているであろう野営地を見つめながら、本題を語り始めました。
「信、お前が言ったように仇討ちの先には道が続いている。…じゃないと外を夢見ていた象姉もうかばれないし……」
(私自身もそう願っている)
 最後は心の中で呟いていますが、黙って聞いている信には多分分かっているんでしょうね。(しかし、ここまでずーっと黙って聞き役に徹してる信も珍しい……)
 やがて彼女は顔を上げ、ゆっくり立ち上がりました。(コマ枠で隠れた顔の上半分の表情なんか、色々想像出来ますね。もしかしたら、ちょっと泣きそうになってたり…?)

「でもやっぱり、私のその道は象姉の仇討ちの先に広がっているんだ。だから。
 
だからこの戦が終わったら私は飛信隊(ここ)を出て行く。
 …………何か月…何年かかるかわからないけど、きっちり仇を討つ。
 ………そしてそれが終わってまた帰ってきたら」


 ハチマキを取り、信に背を向けて「飛信隊を出て行く」と告げる彼女。この部分を敢えて背を向けて言う姿に、どんな顔をして言っていたのか、色々想像の余地がありますね。
 しかし彼女にとって一番伝えたかったのは、次ページのこの台詞だったのは確かでしょう。
「その時は、私もきっとお前達と一緒に前へ進めると思う」

 今週で一番良い表情してます!!! この笑顔、そしてこの言葉。
 異論なし!!
 信でなくてもこの一言しか御座いません。。

 いやしかし、それにしてもこの可愛さと来たら!!!
 最強だろ―――ッ!!!
 涙と笑顔は女の武器、とは良く言いますが、やっぱり一番の破壊力を持つのは笑顔の方ではないでしょうか。。

 わざわざハチマキを取るという行為からも、「皆と一緒に前へ進みたい」これが今の彼女の"紛れもない本心"なのだと良く伝わって来ます。
 普段彼女の目元を覆っているあのハチマキは、単に女である事を隠す(最早隠せているのか謎ですが)というだけでなく、「仇討ち」という最優先すべき事を未だ為せず、本音の多くを隠している彼女の心の象徴、そのものにも思えるのです。人の心が最も表れ易いのはやっぱり「顔(特に目)」ですし。
 最近やたらと信の前では無防備に素顔を晒しまくりな彼女ですが(笑)、今回ここで素顔を見せたのは、彼女なりに自分の本心をしっかり「告げようとしている」事の表れなのではないでしょうか。
 
 そして、刺客襲来編の頃は信の方から「帰って来い」と言ってたのが、今では自分から帰るつもりだと告げてるのも、感慨深いものがあります。
 飛信隊はもう、彼女にとって「帰る場所」なんですね…。

 そんな彼女の本心に対し、信も本音を明かしました。
「本当は俺もちょっと前からお前はそうすべきじゃねェかって思ってた…。話があるっつーから、今すぐ抜けるのかとあせったけどな」
 話の用件が仇討ち関連の事だというのは、やっぱり気付いてたんですね。…しかし、「そう思ってた」という割に「行って来い」と言えなかったのは、信も彼女に「ここにいて欲しい」と思ってたからなのでしょう。
 勿論、彼女が抜けたら戦力的に大きくマイナスになる…というのもあるでしょうが、多分そっちは寧ろ「言い訳」みたいなものではないかと。
 隊の為にいて欲しい、よりも、自分が彼女にここに居て欲しい、という気持ちの方が上だからこそ、余計に「行って来い」と言い辛かったのかな…と。
 それに、実際「じゃあ行く」って速攻で去られても困りますし。(苦笑)

「………仕事はきっちりすませていく」
 仇討ちに行くにしても、こちらの「けじめ」もしっかり付けてから行くと告げる彼女と。
「へへっ頼むぜ副長さん」
 なんて軽口で応じる信のやりとりとかもう。
 何だこの阿吽の呼吸。この二人には告白とかそんなんいらなくね? って感じですね。(^^;)

 ……しかしこの後続いた信の言葉がまた!!!
つかお前やっぱりかわいーんだな。笑うと特に」
 やっぱりって何だ!!!(笑)
 初めて見た時から驚愕してたじゃんかその可愛さに!!
 相変わらずちょいと恥ずかしい台詞をサラっと言う子です。この子は…。やっぱり色んな意味で「人たらし」な奴だ……。
 小さく付け加えられた「笑うと特に」って言葉がまた良い!!! なのに、羌小姐もこの手の事に関しては信並みに鈍臭いのが口惜しい……。
「……は?」
 ………って。(^^;)
 自分が可愛いって事を全く自覚してない感じの天然100%なこの台詞。「ば…バカかっ」とか言いつつ顔を赤らめてくれたら最強コンボ発動(⇒!?)だったのに!!!(苦笑)
 そして、第174話「三百将」で手を掴まれた時とか48ページで肩組まれた時とか、ああいう直接的に体が触れるような事には結構反応する癖に、この手の台詞にはまるっきり反応なしとか。(尤も、信も特に他意は無く、本当に"感じたまま"を言っただけなんでしょうけど。^^;)

 どんだけ秘孔突いて来れば気が済むんだこの子は!!!

 仇討ちの宿命を持つ羌カイと信の絆。それぞれの未来を賭けた一戦へ、いざ!!
 今週は、ハシラも良いですね。「絆」という言葉は、正に今のこの二人にぴったりな言葉です。
 どんなに遠く離れても、二人はザイルで繋がっている!! …と、加藤文太郎(旧姓・森)みたくモノローグってしまいたい……。
 皆と一緒に前へ進むため、この戦が終わったら「帰る場所」と思うこの場所を離れる決意をした羌カイと。
 この戦で蒙ゴウ将軍の条件をクリアしないと、また振り出しに戻る(それは同時に、彼女の帰る場所も無くなってしまう事を意味する訳で…)信と。
 今回の決戦は、正にそれぞれの「未来」が掛かった大一番です。

 戦が終わった後、またこうして二人きりの「見送り」になるのか、最後はちゃんと飛信隊の皆も来ての盛大な見送りになるのか? どんなシーンになるんだろうなぁ…と戦が終わる前から思いを馳せつつ。
 来週は巻頭カラーで、遂に合戦開始…となりそうですね。
 そして、恐怖の合併号の季節ですね……。orz
 また、とんでもねーとこで生殺しみたく終わられたらどうしよう……と今から慄きつつ、待機じゃあ!!!

<追伸1>
 ……で、話を冒頭に戻しますと。
 やっぱりなんだかんだで冷静に読み返してみれば、今週の感じで十分! だと思いますし、この二人らしいなぁ…としみじみ思えるのですが。
 扉絵+サブタイトル+煽りのコンボにやられた私の頭では、寄り添って座って手を重ねるとか、信が彼女の肩に手を回すとか(今週の48ページみたいな感じじゃなく、もう少しぎこちなーくそうっと回してる感じで…)、それ位は期待しちゃったんですよ。はい。(^^;)
 なので呂不韋のドアップ顔とか秦側の軍議のシーンとか。
 …そこまでページ割かなくて良くね?
 とか思ってしまった自分がここに。orz

 特に呂不韋のドアップ顔!!!
 あれは異議あり!!! と成歩堂弁護士のポーズで叫びたい!!
 全力で叫びたい!!!
 意味もなく貴重なスペース取ってんじゃねー!!!

 あんなスペースがあるならそれこそ、↑みたいなシーンが入れられるじゃんよ……とか。
 戦に関しては明らかに昌文君・昌平君より一枚も二枚も劣るんだから、軍議なんか彼らに任せて太后と愛・人・契・約!! でもしてて下さい!!(無論、そのシーンはカットでOKです)
 ……とか心の中で叫んでしまってました。
 すみません、丞相。

<追伸2>
 しかし貂といい羌小姐と言い。二人して主人公の傍を離れる理由が同じですね……。「共に進んで行きたい」と。
 もうこれは…あれですかね。
 どちらより良い女になって、そしてより早く信の傍に戻って来るか? が勝負の分かれ目でしょうか。
 戦でも、スピード&地の利は重要ですし。(笑)
 そしてキングダムの女性陣は、端和様と言い摎さん、紫夏さん、……強くて美しい女性が多くて、嬉しい限りです。。

<追伸3>
 …今後は当分戦メインで、萌え成分<燃え成分になると思いますので、戦終了後に旅立つ彼女を見送るシーンも期待したい所です。
 …抱擁位は欲しいなぁ…(ボソッ)。
 何年かかっても待ってる、と抱きしめる信⇒赤くなりながらも身を寄せる羌小姐⇒そこに皆が来る⇒ハチマキ外した顔を見て尾平とか昂辺りがビックリする⇒皆とも再会を約束して旅立つ羌小姐⇒彼女が去った後、皆に質問責めにされたりからかわれたりで真っ赤になる信
 ……とかそういう感じでお願いします。

 欲張っちゃいけないのは分かってるんですが。

 この半分も達成されたら大喜び、位の気持ちでいないとダメですね。
「分をわきまえぬ夢を見ると不幸になるぞ」
 という王賁お坊ちゃんの言葉をしっかり胸に刻んどこうと思います。
 きっと戦が終わる頃には忘れているのでしょうが……。(^^;)
 

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